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町のとっておきの場所「万匠工務店」
2025.06.30 月
ℍachiがご紹介する町のとっておきの場所…
葉山・上山口にある「万匠工務店 株式会社」の工房を訪ねました。光が差し込む明るい空間はとても居心地が良く、清々しい気分で過ごすことができました。代表の村澤万里さんにもお話を伺うことができ、有意義な時間となりました。

1、大工の世界に入ったきっかけは?
子供の頃からものづくりやメカが大好きで、プラモデルにも夢中になっていました。
何もない原っぱに建物ができていくのを見るのがすごく面白くて、引き込まれていきました。
数百年もの時を越えていく日本の美しい木造建築を目の当たりにして、「自分もこんな仕事がしたい」と思うようになり、大工の道を選びました。
2、師匠について教えてください。
これまでを振り返ると、自分には大工の「師匠」と呼べる人が3人います。
一人目は、葉山の一色海岸にある海の家を建てていた時に出会ったイギリス人のリチャード・モーガンさん。友人がその海の家を経営していて
縁があってリチャードさんのもとで2年間大工の仕事を学びました。初めて「作ること」を仕事にした原点のような時間でした。
二人目は、奈良県天理市にある「大和社寺工営」の石井文雄棟梁。内弟子として住み込みで2年間生活し、道具の仕立て方から徹底的に教わりました。
それまでの自分を壊して再生するような経験で、まっさらな状態から大工としての在り方を学び直しました。師匠が体を壊して班が解散し、自分自身も膝を悪くして奈良の病院に入院。その入院先で妻と出会い、結婚しました。人生の大きな転機でもありました。
三人目は、奈良県奈良市の梅田工務店の梅田宗春社長と誠亮専務。ここでは「大工たるもの」を徹底的に9年間叩き込まれました。
社長の言動、兄弟子たちの背中から礼儀や心構えを学びました。
皆さん技術だけでなく、生き方や考え方にも大きな影響を与えてくれた方々で、今でも教わり続けています。

3、仕事哲学を教えてください。
「仕事=創造すること」だと思っています。ある日、娘が水泳の大会に出る前、「相手に勝つことより、自分のベストタイムを更新することに価値がある」と言ったのです。その言葉にハッとさせられました。後から聞いたら僕がいつも言ってる事だったようですが、
それ以来、自分の中でも「人と比べない、比べるべきは昨日の自分だ。昨日より今日、今日より明日」が信念となりました。大切なのは、その一歩を踏み出し続ける事。常に自己ベストを目指して、自分を高めていくことが恩返しであり、生きることだと感じています。
大工の仕事は「作業」ではなく、「創造」だと思っています。一つひとつの動きに意味があって、そこに想いを込める。過去の自分にとらわれず、新しい自分であり続ける。その意識が、ちっぽけな僕のものづくりをより価値のあるものにしてくれると思っています。
4、「和衷協創」この源点にあるものを教えてください。
万匠工務店が理念に掲げているのが、「和衷協創(わちゅうきょうそう)」という考え方です。これは、心を合わせて、共に最高のものを創り上げていくという姿勢です。大工だけで作れるものなんて何一つもないんです。お施主様の想い、各職人の技能、歴史や伝統、素材、時空、宇宙法則等様々なものが融合して始めてカタチになります。そうでないと調和したものは生まれないのではないかと思います。家づくりは、施主さんと一緒に創っていくものです。だから僕は、模型や直筆で絵を描いて具体的なイメージを共有しながら、納得いただいた上で仕事を引き受けます。顔を突き合わせて、言葉を交わして、「一緒にやりたい」と思ってもらえる関係を大事にしています。

5、葉山を素晴らしいと感じたポイントを教えてください。
初めて葉山を訪れたのは20代の頃。一色海岸にある、友人が経営していた海の家に遊びに行ったのがきっかけでした。東京から逗子まで電車で揺られ、そこからバスに乗って辿り着いた一色海岸。そのとき見た、水面のわずかな波が光をあちこちに反射して、キラキラと輝いていた景色が、今でも強く心に残っています。
それ以来、盆と暮れの年に2回、葉山に足を運ぶようになりました。ふとした瞬間にも、あのキラキラと輝く水面の風景を思い出しながら過ごす日々が続いていました。
そして、40歳になる年の2019年、自分の人生を自分の手で動かしたいという思いから、奈良から葉山へ移住し新たな生活を始めました。
自分で采配を振るいたかったし、一匹の男として成長したかったのです、今でも周りの人に厄介かけてばっかりですけど。
そして翌年の2020年に万匠工務店を設立し、今年で6期目を迎えています。すべての原点にあるのは、20代でのあの体験と一色海岸の景色。
葉山という場所が、自分にとっての「帰るべき場所」になりました。

デッサンしている様子
6、今後の展開は?
6期目を迎えた今、やってみたいことがたくさんあります。まずは、毎日一緒にいてもいいと思えるような相棒、弟子を見つけたい。
やっぱり家族が豊に成長する万匠の家を建てさせてもらいたい。信頼できる仲間と一緒に、もっと多くの新しい案件にも取り組んでいけたらと思っています。
1人で亀のように一歩一歩なんで案件は貯まってます。でも、焦ってはいません。
すべては“完璧なタイミング”でやってくるものだと信じているからです。
これからもずっと、仕事の質を上げ続けていきたいと思っています。たとえば、ちょっとした木の配置やディテールの納まりだけで、完成した空間の雰囲気やクオリティは大きく変わります。だからこそ、細部まで妥協せず、丁寧に。そんな仕事を積み重ねていきたいと思っています。
大工の人生の舞台は、いつだって「現場」だと思っています。今日という一日を、清々しく、まっすぐに生きる。日本の木造建築は、その意匠に実用性と美しさを内包して千年以上前に完成されていると思います。その完成されたものから学び、今この時代を生きる自分の感性をどう重ねていくか、そこに挑戦したいと思っています。大工道具は時代とともに進化し、それに伴って建築も少しずつ変わってきました。
その「変化」の中で宇宙が自分を媒体とし魂の内側から沸き起こって来るものを、ものづくりに込めていきたい。
自分自身も変わり続けながら、新しい建築の形を探していきたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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